『江副浩正』(4)

今週は第3章の東京大学新聞というところを読んでいます。長いので前半と後半に分けて書こうと思います。

 

江副氏は、見事周りの期待を裏切る形で東大に合格しました。彼は自分で寮費を稼ぐために、アルバイトの募集を覗きに行くのが日課だったそうです。仕事にあぶれれば授業に出るか、という学生にあるまじき本末転倒の暮らしでした。さらに周りと比べ親の収入が低かった彼は奨学金も貰えることになり、授業料と寮費をなんとか自分の力で稼いでいたというのに驚きました。

 

そしてこの東大で、彼の未来を明るくする出会いがあったそうです。初等科から高校まで学習院で、マミヤ光機の御曹司である菅原君との出会いです。

内気で大人しい性格の江副にとって、金持ち風を吹かせるわけでもなく貧民を哀れんだりしない、あっけらかんとして明るい性格の菅原との出会いは彼の人生観を大きく変えたでしょう。  

菅原君は高校時代の江副氏の周りにいたお坊ちゃん学生と明らかに違う存在でした。親の代から築かれた資産を守ろうと経営などについて詳しく学ぶ姿などは、江副から見て尊敬に値するものだったと思います。菅原君は江副氏にとって初めて心を開き、自由になれる環境を作ってくれた存在なのです。

本書にも『分け隔てなく人を見る菅原やその仲間に出会い、江副はその屈折した思いから解き放たれた』とあります。

 

今まで彼を支配してきた厳格な父によって禁欲的でならなければならないという不自由な考え方はここで打ち砕かれ、自由で明るい学生生活を送ろうという気持ちになったことと思います。彼の人生で欠かせない出会いだったのです。