『江副浩正』(8)

引き続き第4章です。

江副は大学広告の収入不足に困っていました。
そんなとき出会ったのが株です。

景気がよく事業を、拡大しようとしてる企業は前年度から大量の新卒者をとるため、採用情報をもとに投資の読みが簡単にあたりました。といっても、最初は大学広告のアルバイトにお給料をあげられるくらいの儲けだけを考えていました。しかし、株のこつを掴み、さらに資金も多くなったとき江副の株はギャンブルレベルまでエスカレートしていきました。江副はこのとき体験した株の魅力に死ぬ直前まで取り憑かれました。


それに加えて、江副は注文と同時の半金前金制を採用することを思いつきました。 半金を入金していないために刷れないと大声で企業に乗り込み、企業を圧倒し次々に企業は半金を入金してくれました。
そしてこの半金前入金制は将来のリクルートの経営の基盤となっていきました。


そして、ついに「企業への招待」が刷り上がりました。学生にとっては非常に画期的な本であり、学生からの反響は大きかったそうです。
巻末にアンケートはがきを差し込んだところ、感謝の気持ちだけでなく、こういう項目が欲しいなどの意見もたくさん届き、それらは次年度の編集に生かされました。こういう対応の、良さも企業が大きくなった理由だと思います。

そうして大反響の初年度のおかげで、翌年からは企業への営業もずいぶん楽になりました。


江副が当初、三年しかもたないかもしれないと思っていたこの事業は、2年目にして安定していきました。
さらには、無料で配布した「企業への招待」が古本屋の店頭で200円の値がつけられていました。
『自分の開発した本がお金を払ってでも手に入れたい情報であるのだと思った時に、江副自身がその価値をようやく悟った』

世界初の就職情報雑誌となった「企業への招待」の価値に本人が気づくタイミングが意外でした。